まったく新しい歯科衛生のアプローチ
多葉刷子工業所は、創業以来70年にわたって人々が白い歯の輝く笑顔を手に入れることに貢献してきました。しかし、歯ブラシメーカーである多葉刷子工業所の代表取締役で、社名の由来ともなっている多葉宣宏氏のこうした経験をもってしても、犬たちにとって歯科衛生が人間と同じくらい重要であることに気づくのは容易ではありませんでした。
ある日、家族の大切なペットであるトイプードルを定期健診に連れていき、大きなショックを受けることになります。「かわいそうに、歯垢が溜まりすぎたせいで、全身麻酔をしなければならなかったんです」と多葉氏は回想します。
歯垢が溜まっているだけならよかったのですが、2本はひどい虫歯で、抜歯が必要だったのです。こうした問題は、犬にはよくあることです。実際、最近の調査によると、犬の90%以上は、2歳になる前に歯周病にかかっているそうです。犬はすぐに回復しましたが、多葉氏にとっては認識が変わる体験でした。
多葉氏は続けます。「弊社では歯ブラシを製造しています。愛犬の苦しむ姿を目の当たりにして、自然と私に何かできることはないかと考え始めたのです」
運命のブラシ
熟慮を重ねた結果、多葉氏は「飼い主が自分の歯を磨くように、ペットの歯を簡単に磨ける歯ブラシがあったらどうだろう?」という考えにたどり着きます。
日本で犬を飼う人は平均的に、愛犬の身だしなみやケアに対して、自分たちにかけるより多くのお金や時間を費やしています。毛むくじゃらの友達の健康と幸せを大切に思っていることは明らかです。にもかかわらず、当時、ペット用歯ブラシにはワンサイズしかなく、トイプードルやフレンチブルドッグといった小型犬には合わないものでした。また、一般的なペット用歯ブラシは合成素材で作られていました。こうした素材は、デリケートな歯や歯茎には刺激が強く、歯磨きはペットにとっても飼い主にとってもストレスの多いものでした。
多葉氏は、こうした気づきを得て、簡単そうに見えて画期的な「天然ブラシ」を思い付きました。いくつかの試作品を経て、ようやく「MIGAKENDE」と呼ばれるデザインが誕生したのです。
「小型犬や子犬たちが気持ちよく歯磨きできる歯ブラシを目指して、MIGAKENDEをデザインしました」と多葉氏は説明します。「これらのブラシは、合成素材のブラシよりも歯茎に優しく、犬にとって魅力的な微かな香りがします。このため、愛犬にじっとしてもらい、飼い主が定期的に歯磨きをするのが格段に楽になります」
最初の成功
自信を持って世に出せる商品を完成させた多葉氏は、いよいよ販売を開始しました。もちろん、Amazonでの販売開始です。
Amazonの魅力の1つは、セットアッププロセスがわかりやすく、比較的安価であることです。「Amazonは費用対効果が非常に高く、ユーザーフレンドリーでした。始めるならここだと思いました」と多葉氏は回想します。
しかし、最終的にAmazonに決めた要因は、物流を任せられる点にありました。「Amazonに商品を納品すれば、保管、配送、返品をすべてお任せできます」と多葉氏は言います。
「これは大きなメリットです。つまり、倉庫を借りたり、従業員を増員したりしなくても、スピーディな発送や一流のカスタマーサービスを提供できるのです」
嬉しいことに、MIGAKENDEはほとんどプロモーションを行わなかったにもかかわらず、すぐに売れ行きを伸ばしました。