新規ビジネスを軌道に乗せる
手根管症候群を患うアメリカ人は1000万人。その多くが、この病気によって衰弱させられています。
重度の場合、手首の神経が圧迫されて、痛みやしびれ、物を握るのが難しいといった症状により、理学療法または外科手術が必要になることがあります。軽度の場合であっても、患者は自身の症状、つまり、永久的な損傷を引き起こすリスクを高めるような活動を止める必要があります。
多くの人が実質的な試練と考えたであろうものを、Anthony LaPolla氏は大成功へと変えることができました。
Anthonyは電気技師としての仕事を2005年に辞め、ニューヨーク州北部で洗車事業を立ち上げ、一流のサービスという評判を瞬く間に築きました。ところが、手根管症候群のために、リムなどの届きにくい場所を適切に清掃し、高い品質基準を満たすことが難しくなってきました。
この症状に自分の夢の邪魔をさせないと決意したAnthonyは、工夫をしました。真剣に考え、実験した結果、独創的なブラシデザインを考案。無理をして自身を痛めることなく、車両の細かい部分にもスムーズに届くようになりました。
ガレージから始めて大きく成長
Anthonyのデザインはトイレブラシを改造し、コードレスのドリルに差し込むことができるようにしたもので、非常に人気があります。顧客からどこで購入できるのか尋ねられたのをきっかけに、Drillbrushが誕生しました。
ビジネスが本格的に軌道に乗ったのは、Amazonでこのブラシの販売を開始し、Amazon Brand Registryに加入したときです。Amazonのこの主力ブランド保護プログラムによって、さまざまなブランド構築機能も利用できるようになりました。
「Amazonは大きな違いをもたらしました」と、Drillbrushの財務および物流管理責任者であるArmin Pekmez氏は言います。「スポンサープロダクト広告と他のブランド構築機能で注目を集めた分、売り上げが大きく伸びました。」
便乗商品
ブランドの認知度と評判が高まったことにより、あらゆる可能性が開かれました。慎ましく始めたDrillbrushは、ボーイング社、SpaceX社、米国空軍をも顧客として数えるようになりました。
残念ながら、成功の結果、好ましくない種類の注意も集めることになりました。Drillbrushが有名になると、これに目を付け、このアイデアと努力を利用し、この商品の偽造品で金儲けをしようとする人たちが出てきたのです。最終的に、これらの偽造品はDrillbrushの利益に食い込んでくるようになりました。
しかし、利益の減少は問題の序の口でした。悪いことに、偽造品の品質の悪さが、苦労して得たブランドの評判も損なうことになったのです。
「ドリルに取り付けた部品が壊れたと、購入者から苦情がくるようになったのです」と、Josh Baranowski氏は説明します。「そういった商品は、当社独自のデザインとも違っていました。」
この問題に正面から取り組むために、すぐに対応する必要がありました。